Wednesday, April 01, 2009

もうひとり

ずっと前からわかっていました。
もう一人自分の中に誰かがいる事。

それは2重人格とかそう言う類いのものではなくて、何て言えばいいのか
上手く言えませんが、私の中のその人の声に従うと、とても社会に適応出来ない感じのもの。
でも率直で、本当の意味で優しくて、私を救ってくれる人。
幼い頃は、比較的その声に従って来たような気がします。

一人っ子だった私は自分の中のもう一人と物語を作っては、絵本の中を旅しました。
それはとてもスリリングで、キラキラしていて、それはそれは本当に楽しかった。

動物とも話したし、山の木や岩、川のちいさなせせらぎとだって話しました。
水の神様に怒られて、熱をだしたり、狐に憑イされておかしくなったこともあります。

今でも良く覚えているのは、むかし一緒に暮らしていたリリーというイヌが死ぬ直前に『ありがとう』と言ってくれた事。
私が生まれる前から実家にいて、一緒に遊んだし、すっかり歳をとって歩けなくなったときもそばにいました。
いつも優しくて、親に怒られた時は外で一緒に泣きました。
動物と人は本当は話せるんです。


ここまで読んで、気がふれてると思う人もいると思いますが、子供の頃のわたし、これが本当なんです。


社会人になってやはり周りの環境に適応する為に、意見に同調したり、上手く立ち回る事が快適にすごせる術の一つなんだと気付かされたとき戸惑いました。
自分の中のもう一人がそんな私をものすごく冷たい視線でみて、そして淋しそうにしていました。
わたしは聞こえないふり、見えないふりをしました。


ただ、これだとやっぱり大人の世界の普通の生活は難しいから、いつのまにか心の中のもう一人の声を聞こえないように、
意識的に閉ざしてしまうんです。しまったんです。
だって、生きづらいでしょ、これじゃ。

その間、もう一人の自分は聞いてもらえない事で深く悲しみます。
でも気付かないふり。
こんな事を繰り返し、本当に大事なものが何なのか、わからなくなっていました。

その度にもう一人の私は、本を使って私にメッセージをくれたり、音楽だったり、景色だったり、様々な形で私に忠告をくれていました。
その度に泣く気はないのに、涙がこぼれます。
心が揺れるんです。結果、涙がでるんです。

最近また、私の中のもう一人が何かを知らせようとしています。
出逢うものごと、人、本、コトバ、それらがそれを気付かせてくれています。
それらが代弁して私に伝えてくれます。

いまはこの声に普通に耳をかす事が出来ます。

むかし厄介だと思っていたもう一人の自分のことを今はとても大事にしています。
ありがとう。


これから、わたしにはなにが大事なのかしっかりと感じたいと思っています。

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